
「精神疾患」といっても多くの種類があります。精神医学では精神疾患の定義・診断基準が統一されていません。そのために同じ病状に対して付けられる病名が、精神疾患の分類法によって変わってくることがあります。代表的な分類法では、ICD−10という世界保健機構(WHO)の疾患分類であり、精神疾患の全般的な枠組みを記したものです。
F0 |
症状性を含む器質性精神障害 |
F1 |
精神作用物質使用による精神及び行動の障害 |
F2 |
統合失調症・統合失調型障害及び妄想性障害 |
F3 |
気分(感情)障害 |
F4 |
神経症性障害・ストレス関連障害及び身体表現性障害 |
F5 |
生理的障害及び身体的要因に関連した行動症候群 |
F6 |
成人の人格及び行動の障害 |
F7 |
精神遅滞 |
F8 |
心理的発達の障害 |
F9 |
小児期及び青年期に通常発症する行動及び情緒の障害 |
(参考:「こころの病とのつきあい方」〜社団法人大阪精神保健福祉協議会〜)

■統合失調症 |
「ICD10:F2−統合失調症・統合失調型障害および妄想性障害」に分類)
10代の後半から30代の半ばにかけて発症することが多く、一般的には100〜120人に1人がかかると言われており、決してまれな病気ではありません。症状は個人差が大きく、またきわめて多彩であり、妄想・幻覚・思考障害・自我意識障害・ひきこもり・感情の平板化・無関心などがあげられます。また、経過としては、「なんとなくしんどい」・「眠りが浅くなってきた」・「落ち着かない」などの症状が現れる前兆期、幻聴・妄想が活発化する急性期、「病み上がりの時期」とされる慢性期がありますが、その時期や期間は人それぞれです。治療法としては、薬物療法、精神療法、リハビリテーションがあり、それぞれ時期や症状の具合によっておこなわれます。
薬物療法は幻聴や妄想などの症状ををおさえるはたらきがある一方、舌がもつれる・眠けをもよおすなどの副作用があります。また薬を飲みつづけることのわずらわしさもあり、服薬を続けるのは楽なことではありません。精神療法とは考え方や気持ちを整理することで精神的な苦痛を改善する総称のことです。リハビリテーションとは、対人関係能力や生活技能能力などに働きかけ、社会生活への適応を目指すものです。
(参考:「こころの病とのつきあい方」〜社団法人大阪精神保健福祉協議会〜) |
■躁うつ病 |
(「ICD10:F3―気分(感情)障害」に分類)
「躁(そう)」や「うつ」という言葉は日常生活の中でもよく使われています。それほど「うつ」というものは身近なものです。
「うつ」の時期は、「気分が落ち込み、何をしても楽しくない」・「何に対しても意欲や興味がなくなる」などの症状が現れます。また、「夜中に何度も目が覚める、朝早くに目が覚める」といったような不眠の症状も認められます。また、身体的な症状として、食欲がなくなり体重が減少する、便秘や動悸がひどくなるなどがあります。逆に、「そう」の時期は「睡眠時間が短くなる」・「気分が高揚し、意欲が異常に高まる」などの症状が出現します。
「躁うつ病」は、「そう」と「うつ」を交互に繰り返す人もいれば、「うつ」だけが何度も出現する人もいます。治療の原則はしっかりと休養をとり、規則正しい服薬を行うということです。きちんと通院し主治医に薬を調整してもらいながら、十分な睡眠と休養をとることが大切です。
参考:「こころの病とのつきあい方」〜社団法人大阪精神保健福祉協議会〜) |
■その他の精神疾患 |
ほかには、神経症〜パニック障害・強迫神経症・外傷後ストレス障害(PTSD)など〜、アルコール依存症・薬物依存症・てんかん・アルツハイマー型痴呆・摂食障害・広汎性発達障害などがあります。厚生労働省の統計によると精神障害者は全国で約204万人といわれており、決して特別な人だけがなる病気ではありません。
(参考:「こころの病とのつきあい方」〜社団法人大阪精神保健福祉協議会〜) |
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